わたしの「もしかしたらの世界」の話
MeseMoa. ツアー Maze No.9が無事ツアーファイナルを迎えました。
ただのオタクの私が、ツアー何公演かとファイナルを観て思った感想を記します。
この気持ちを忘れたくないから。
非常に独りよがりの内容です。ご承知おきください。
このツアーで、メンバーがそれぞれ開けた「もしかしたらの世界」への扉。
目が離せなくなり、気づいたら自ら開けていた扉。
別の人生を歩む自分自身の扉。
Mazeアトラクションの支配人は言います。
「もしも向こうの世界が心地よかったとしたら?」
「ゴールができるかもわからないこの世界に戻ってくるのが、果たして幸せなのか?」
初日にこの台詞をきいたとき、お話だ台詞だとわかっていても、
「たしかにそうかもしれない」と頷いてしまう自分がいました。
扉のむこうで、彼らはとても生き生きと暮らしています。
教師も大学生も青年実業家も司書もシンガーもゲーマーも映像編集者もバリスタも保育士も、みんな楽しそうに生きています。
ああ、彼らには、こういう未来もあったんだ。
普通(とはなにかと言われると難しいですが)の、幸せな未来もあったんだなと思うと、胸がくうっと締め付けられました。
毎日仕事ばかりで
寝る時間もままならず
いろんな人にいろんなところで好き勝手言われて
行きたいライブに行けず
体を痛めて
彼らは果たして、「こちらの世界」に戻ってくることは幸せなのだろうか?
私は8年ほど前まで、撮影のスタッフのお仕事をしていました。
夢でした。
映画を撮ること、映画の制作に関わることを夢見て、専門学校に行き、そして叶えた夢の世界でした。
が、現実はありえないほど体力と気力のいる仕事で、人間としての真っ当な生活を半分捨てるような感じでした。
寝れない日々がありました。
寒さ暑さと戦う日々がありました。
しねと怒鳴られました。
毎日のように泣きました。
行きたいライブにも行けませんでした。
でも、これ以上ない興奮や喜びを感じる瞬間がたまにあって、
ああこの映画の制作に携わることができてよかったと、たまぁに心の底から感じることがあって。
それだけを頼りに4年続けました。
だけど全然技術が上がらなくて、それが苦しくて、別の仕事をはじめました。
その仕事は毎日決まった時間に出勤して、残業はあってもおうちに帰れるし、空調のきいた部屋で座ってできる仕事でした。
やりがいもありました。喜びもありました。悔しいとか苦しい気持ちもありました。
ただ、撮影のお仕事をしていたときのような、一分一秒感情が動き、情熱的で、緊張感が溢れる毎日ではありませんでした。
もしかしたらの世界。
その世界で、私はきっと映画のスタッフをしているでしょう。
「もしかしたらの世界」にいる私は幸せか?
いまの私は、その私になんと声をかけてあげることができるだろう?
白服さんはファイナルで、「もしかしたらの世界」の自分にいいました。
「そっちも不幸じゃないと思う」。
やりたかった仕事をして
いろんなライブに行ったり
好きな時間に寝たり
ゲームをたくさんしたり
Flower Windの彼のように、大好きな彼女と結ばれたり、
幸せはひとつじゃないし、人それぞれ幸せの形は違うし、そもそも本当の幸せなんてわからないことが多いから
「もしかしたらの世界の私」と「こちら世界の私」どちらが幸せかなんて私にも判断がつかないし
「もしかしたらの世界の彼ら」と「こちら世界の彼ら」どちらが幸せかなんて彼らにもわからないかもしれない。
それでも彼らは、「こちらの世界」に戻ってきてほしいと、「もしかしたらの世界」の自分たちに言いました。
「こんなこと言ったらアイドルなんて嫌だと思うかもしれない」
「きっと1人は楽でしょう」
「こどもたちに囲まれて幸せだろう」
「そちらも不幸ではないと思う」
そう言いつつも、
「信じて待ってる」
「このメンバーがいるから」
「たくさんのファンがいるから」
「より自分らしくいれるから」
そう言って、「こちらの世界」の自分たちが、今まで幾度となく「悩んで、迷って、決意して」きたことを、肯定し、
「次の扉開けよう」と、またゴールのない「こちらの世界」を歩み続けることを決めてくれました。
辞めるのも自由。
夢を諦めるという決断はできる。
その先にも幸せはある。
New Sunshineの彼は踊り子になりたかったけれど、いまは会社員として働き家族と共に幸せに暮らしいている。
未だに夢に出てくるほど、私は映画の仕事を辞めたことが心に引っかかています。
あの時もうひとつ仕事を引き受けていたら。
引き止めてくれる人の声に足を止めていれば。
けれど、「もしかしたらの世界」がない現実のこの世界では、ドアを開けて覗き見ることは叶いません。
映画の仕事を続けている私のほうが幸せなのか、いまの私のほうが幸せなのか。
わからないけれど、いまの私はより一層幸せになれるように努力することができる。
私の中のもうひとつの世界の私を否定しなくていいのだと、彼らは教えてくれました。
このMazeは、「もしかしたらの世界」のもうひとりの自分が、「こちらの世界」の自分がまたひとつ新しい扉を開けられるように、「もしかしたらの世界」を振り返り、肯定し、ばいばいをするために用意されたのかなと感じました。
めせもあ。はまた新しい扉として、パシフィコ横浜の公演を決めました。
「走れ!踊れ!歌え!やり切った先に」
「まだ見たことのない景色が広がっているから」
これからも「こちらの世界」の彼らから目が離せません。
私も精一杯生きて、キラキラオーロラの様に様々な色で輝く彼らに負けないよう、「こちらの世界」を楽しみたいと思いました。